〜薬剤師 美濃口 豊〜

高尿酸血症(痛風)とは

高尿酸血症とは、血液中の尿酸の数値が高くなり尿酸が血液中に溶けきらなくなって結晶化してしまう病気で、いわゆる痛風(急性関節炎発作)とは、この溶けきらなくなった尿酸の結晶が体内に沈着し、それを白血球が異物と判断し攻撃してしまうことが原因で主に足の親指の付け根外側が激痛を伴い赤く腫れ上がる。中年男性に多く現れることが多い。
  高尿酸血症の発作の「痛風」という通称は、この発作が「風が吹いても痛い」ほどの激痛を伴うことからつけられた、と言われている。

原因

高尿酸血症は多くは原因が特定できず、遺伝的要因の関与、過食(プリン体の過剰摂取)、肥満などが誘因となる。
  体内の尿酸は食事によるプリン体の摂取やDNAの分解などに由来し、大部分(約8割)は腎臓で排泄される。また、最近は腸管からも排泄される(約2割)ことが解明された。  腸管からの尿酸排泄は、痛風遺伝子と言われている「ABCG2」という遺伝子が大きく関係しており、この遺伝子がうまく機能しないと腸管からの尿酸排泄が低下することが判明した。

治療法

痛風の治療法は主に食事療法と薬物治療に分けられる。
  食事療法としては、プリン体の摂取量を一日400㎎に抑えるようにプリン体を多く含む食品(表1参照)を避け、アルコールの摂取を控える(アルコールは直接的に尿酸値を増加させることが知られているため)などの方法がある。またプリン体は、健康食品にも多く含まれていることがあるため、サプリメント等を摂取する場合でもプリン体の含有量を確認してから摂取することが望ましい。
  薬物療法としては、尿酸値の急激な低下は痛風の再発を誘発するため、痛風が起こっている場合にはコルヒチン(コルヒチン)やボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)などで痛みを抑え、尿酸の生合成を抑制するザイロリック(アロプリノール)や尿酸排泄を促すユリノーム(ベンズブロマロン)が治療に使用される。また、新しく発売されたフェブリク(フェブキソスタット)は、ザイロリックと同じ尿酸生成抑制薬であるが、一日一回の服用で済み、なおかつ肝臓排泄型のため、腎機能が低下している患者さんにも通常量投与できることがメリットである。
  また、すでに痛風発作が起こっている時の応急治療としては、患部を冷やし、発作の起こっている関節を安静にすることが重要である。

(表1.プリン体含有量の一例 痛風財団調べ)

品名(100gあたり) プリン体含有量(㎎)
白米 25
ホウレンソウ 51
干しシイタケ 379
カツオ 211
大正エビ 305
鶏レバー 312

(表2.プリン体含有量の少ない食品の一例 痛風財団調べ)

品名(100gあたり) プリン体含有量(㎎)
0
牛乳 0
チーズ 6
アーモンド 31
イクラ 4
スジコ 16

参考資料:プログラム学習による処方解析学(廣川書店)、薬学生・薬剤師のための
知っておきたい病気 日本薬学会編(東京化学同人)、日経メディカルオンライン