トップページ > 薬と上手に付き合うための基礎知識 > 薬と上手に付き合うための基礎知識(12) 〜薬剤師~金子 昌弘〜 服用補助製品編 粉薬の味が苦手で毎回辛い思いをしていたり、また錠剤やカプセルが口の中に残ってしまい、飲み込みにくいことはないでしょうか・・・お薬を有効に使用していただくためには医師の指示を守り服用していくことが大切です。今回は服用補助製品について紹介します。 薬用オブラート 天然素材のデンプンから作られ、オブラートで包むことで味やにおいを抑え、口の中へ広がらないため、薬が口の中に残ってしまうことを防いでお薬の飲みにくさを和らげます。定番の丸形、粉薬を包み込みやすい袋型があります。 薬用オブラートの使い方 ①水を入れたコップ、お湯のみを用意します。 ②乾いた手でオブラートを1枚取り出し四つ折りにします。 ③袋の形に広げて薬を入れます。その際、後で袋の上側を折り込んで袋を閉じるのでお薬は入れ過ぎないようにします。もしお薬のかさが多いようなら何回かに分けてください。 ④丸型オブラートの場合、袋の上側をつまんで少しねじり下側に折り込みます。袋型はなるべく小さくなるように下側に折り込んでください。 ⑤包んだら用意しておいたコップの水に、オブラートを半分くらいつけて、速やかに口の奥の方にオブラートを入れます。※意外と忘れている方がいますが、オブラートは口の中に入れる前に必ず水を付けてください。乾いた状態で入れると、口の中で付着して破れる原因になり飲みにくくなります。 ⑥速やかにお水で飲み込むようにしてください。※速やかに飲み込まないと口の中でオブラートが破れてしまいます。 ゼリー状オブラート 寒天を主原料としているためお薬に影響を与えず、使用時にクラッシュさせて取り出すため粉薬に限らず、錠剤やカプセルにもよく絡まります。また果汁などを加えてお薬の味やにおいを包み込んでしまいます。適度な粘度があるため、飲み込みやすい服用補助製品です。普通のオブラートでは飲み込みにくい小さなお子様や、飲み込む力の弱いご年配の方、病状の方に向いています。 また薬は飲めるが食道あたりで引っかかっている感じがすることが多い時も適しています。これはお薬をお水で飲む際、食道を通過する時間が異なるためで、水は速やかに下ってしまうのに対して、錠剤・カプセルが食道を通過するためにかかる時間が長いことによります。ゼリー状オブラートは、お薬とゼリーが絡んだ状態で胃まで到達するので服用しやすくなります。 基本的に服用時には、コップ1杯分のお水を飲むことが必要ですが、それでも症状が出てしまう方や、誤飲しやすく一度に多くの水をとれない場合など、その使用範囲は広いと思います。 ゼリー状オブラートの使い方 ①ゼリー状オブラートをクラッシュして、小さめの容器に入れます。 ②服用するお薬を、ゼリー状オブラートの上に置きます。 ③お薬の周りのゼリー状オブラートをお薬の上にかぶせてお薬を包み込みます。もし足らないようならば、ゼリー状オブラートを追加して加えます。 ④そのまま「つるん」と飲み込みます。 ⑤お薬の量が少ない時は、スプーンにゼリー状オブラートを入れてお薬をのせて、再びゼリー状オブラートをのせ、お薬を包み込むようにして「つるん」と飲み込みます。 ゼリー状オブラートの選び方と注意点 お薬に影響を与えない寒天が主成分です。より服用しやすくするために果汁やチョコなどのフレーバーを加えているものもあります。果汁を加えたものは、すっきりしとして飲みやすくなりますが、酸性タイプのものが多くなります。またチョコフレーバーやバニラフレーバーを加えた中性タイプのものに分かれます。 基本的には好みの味のものを選んで構わないと思いますが、お子様が薬とわかると服用を嫌がる場合は、色の濃いものを選ぶとよいでしょう。ただしマクロライドという抗生物質の粉薬は苦味が強く、果汁などの酸性条件下ではさらに苦味が強くなる場合がありますので注意してください。その際は中性タイプの製品や、チョコフレーバーの製品が適します。また漢方薬などで苦味の強い場合は、チョコフレーバーなど甘苦さのある方が味を隠すことができます。購入の際に事前に薬剤師に相談しておくとよいでしょう。 お薬が胃の中で溶けて吸収されるためには適度の水分が必要です。必要に応じてお水も摂るようにしてください。 薬の使用方法がわからないときは薬剤師に確認を お薬は医師の指示を守り服用することが大切です。飲む際に負担をかけないで安全に服用を続けていくことが大事なので、服用補助製品の特長と使用方法を理解して活用してみてください。有効に安全に薬を使用していただくために、薬の使用方法で何か不明な点がありましたら、まず薬剤師に確認して適切に使用するようにしましょう。