〜薬剤師 今井 孝浩〜

「口腔」

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口の内腔を口腔といい、くちびる(口唇)から咽頭との境までが範囲となる。消化器の入り口で食物の咀嚼に必要な歯や、味覚器官・食物の咀嚼嚥下・発声の補助として働く舌、唾液を分泌する唾液腺が開いている。口腔はその奥で咽頭・鼻腔・消化管・気管とつながり複雑な構造をしている。

「口腔内の炎症の原因」

口腔では常に摂取・呼吸・発声などにより外部と接していて、細菌・ウィルス・埃などが侵入・付着する。口腔内は粘膜などにより防御機能が働いているが侵入したものにより炎症が起きたり、全身症状を呈したりすることがある。

「歯科・口腔用剤」

口腔やのどの炎症、また口腔周辺の特徴的症状として口内炎・口唇ヘルペス・歯痛・歯槽膿漏・口臭などに使われ、殺菌成分・消毒成分・消炎成分などが含まれ、含嗽薬・局所スプレー・トローチ・軟膏・添付剤などの剤形がある。

◎基礎疾患がなく、喉の炎症(痛み・腫れ・不快感・声がれ)

含嗽薬・のどスプレーなど殺菌・消毒薬、消炎成分配合のトローチ。

《受診勧奨》OTC薬を5-6日使用しても改善しない、悪化する。炎症が広範囲。

◎口内炎

原因は栄養の偏り・疲労・ストレス・口腔内不衛生など様々。

○アフタ性口内炎
アフタ(楕円形の偽膜性小潰瘍)、中央に浅いくぼみ、白っぽく見える。

○カタル性口内炎
紅班性口内炎と言われることも、口腔内に境界がはっきりしない赤い斑点や腫れ。

○カンジダ性口内炎
カンジダ(カビ)による口内炎、白いコケ状の斑点、通常痛みがないがただれると痛み。
体力や免疫力低下に伴い発症しやすい。

《受診勧奨》症状が1ヶ所でなく口腔内全体や唇・口周辺に拡がっている、発熱・全身倦怠感、カンジダ・ウィルス感染症が疑われる。

◎口臭

原因に係らず口腔を通して排出される他覚的不快な臭い(悪臭)、原因は舌苔・歯周病や呼吸器・上消化器・腎臓・肝臓疾患など二次的な口臭も。

口腔内の食物残渣・不潔な義歯が原因の口臭に対しては含嗽薬や適切な歯磨きでセルフケア出来る。

《受診勧奨》他疾患が疑われる二次的口臭。

「使用上の注意」

◎妊婦・授乳中

一般的に歯科・口腔用剤は局所作用目的で使用は禁止されていないアシクロビルの母乳への移行、トリアムシノロンアセトニドの妊娠中の安全性が確立していないので注意が必要。

◎甲状腺障害

ヨード含有製剤を避ける。

「生活上の注意」

○外部異物の侵入を防ぐために、手洗いうがいを。

○免疫力を維持する為規則正しい生活し、ストレス・疲労を蓄積しないよう心がける。

○口臭予防として口腔内の衛生を保つようオーラルケアを心がける。

参考:今日のOTC薬(南江堂)