〜薬剤師 後藤 君代〜

1.乾電池

乾電池にはマンガン乾電池とアルカリ乾電池の2種類があります。それぞれ単1形から単5形、006P形の6種類があります。家庭では単1~単4形が良く使われています。
 単3や単4形乾電池を誤って飲み込んでしまう事故や古くなった乾電池の漏れ出した液をなめてしまう事故があります。

《症状・応急処置》
 乾電池をそのまま飲み込んだ場合、ほぼ無症状で40~72時間後に排泄されます。もし1か所に留まり壊れてくると、潰瘍や消化管穿孔をおこす可能性があります。食道内にとどまると圧迫による組織の腐食をおこすおそれがあります。
 液漏れしたものをなめてしまった場合、悪心・嘔吐・頭痛・口から喉の焼けるような痛み等が出ることがあります。冷たい牛乳または水を飲ませ、異常があれば受診してください。眼や皮膚についた場合は皮膚炎をおこすことがあります。流水で良く洗ったあと様子を見てください。刺激が残っていれば受診してください。

《予防》

  • 切れてしまった乾電池はすぐに処分し、子供の手が届かないようにしましょう。
  • おもちゃ等に使われているものは電池カバーが外れないように工夫してください。

2.ボタン電池

ボタン電池はアルカリマンガン電池・水銀電池・酸化銀電池・リチウム電池等様々です。アルカリマンガン電池や水銀電池は家庭で使用されることが多いため誤って飲み込む事故も多いです。

《症状・応急処置》
 飲み込んだ電池は食道につまらなければ、ほとんどの場合何事もなく便に出ます。 しかし1ヵ所に長時間とどまると、放電(電気分解反応)がおこり食道や胃の粘膜を腐食(やけどに似た状態)したり、また電池が胃の中で壊れるとアルカリの強い電解液がもれ出し、胃に穿孔(せんこう=穴があく状態)をおこす危険もあります。使用済みの完全に放電した電池は、毒性のない異物と考えられます。
 飲みこんだ場合、まれに嘔吐、胸の痛み、咳、腹痛、下痢などが出ることがあります。重い症状では食道や胃の粘膜に腐食や穿孔をおこします。鼻や耳に電池を入れて、鼻の中や鼓膜に穿孔を起こした例があります。水銀電池が壊れると水銀中毒を起こす可能性もあります。
 飲み込んだり鼻や耳の中に入れた場合、必ず受診してください。その際、同じ種類の電池を持参するか電池の種類を確認しておいてください。飲んだ可能性がある場合も確認のため受診してください。

《予防》

・ 乾電池と同じです。

《症状・応急処置》
 記号による電池の種類の判定
    SR……………………酸化銀電池
    LR……………………アルカリマンガン電池
    MR、NR1……………水銀電池
    BR、CR、GR、CL……リチウム施池

〈参考〉日本中毒情報センター