トップページ > 家庭に潜む危険物 > 家庭に潜む危険物III(洗剤、漂白剤) 〜薬剤師 後藤 君代〜 ※最後のページに家庭での中毒事故防止チェックリストをつけましたので、各家庭での危険度をチェックしてみてください。 1.酸性・アルカリ性洗剤(トイレ・換気扇・排水パイプ用など) 腐食作用が強いので、皮膚や粘膜がただれやすいです。原液や粉末を飲んだ場合は大変危険です。 《症状・応急処置》 飲み込んだ場合、口から喉・食道・胃とただれ、ものが喉を通らなくなることもあります。 目に原液や少し薄めた液が入った場合、失明することもあります。 原液や濃いものを飲んでしまった場合、吐かせずに口をすすいだ後に牛乳または卵白を飲ませ、受診してください。薄めたものでも飲んでしまった場合は同じようにすすぎ、様子を見て、痛み等の症状があれば受診してください。 眼についた場合は流水で良く洗ったあと受診してください。皮膚についた場合は良 く洗い、痛み等があれば受診してください。 《予防》 使用中も保管中も子供の手の届かないところに置き、必ず、キャップをきちんと閉めてください。 小分けして使用する場合は、コップや牛乳瓶等間違えやすいものに入れるのはやめましょう。必ず、栓の出来るものに入れ、ラベルをつけましょう。 2.弱酸性・中性・弱アルカリ性洗剤(台所用・洗濯用・お風呂用など) 前述の酸性・アルカリ性洗剤にくらべると、毒性はほとんどありません。 《症状・応急処置》 大量に飲み込むと、吐き気・嘔吐・腹痛・下痢等をおこすこともあります。 眼に入った時は粘膜がただれることもあります。 飲み込んだ場合は、口をすすいだ後、牛乳や卵白を飲ませ、症状があれば受診してください。 眼に入った時は、流水で良く洗ってください。痛みや充血がひどいようなら、受診してください。 《予防》 酸性・アルカリ性洗剤と同じです。 3.漂白剤 漂白剤には塩素系と酸素系の2種類があります。容器の表示をみて、塩素系、酸素系のどちらに該当するかを確認してください。 酸素系漂白剤は塩素系漂白剤にくらべると毒性は低いですが、原液では注意が必要です。 《症状・応急処置》 塩素系は腐食作用が強いので皮膚や粘膜がただれます。飲み込んだ場合は、口の中からのど・胃がただれて痛くなり、物を飲み込めなくなることがあります。 眼に入った場合は失明することもあります。 飲み込んだ場合は、吐かせずに口をよくすすいだ後、牛乳や卵白を飲ませ、すぐに受診してください。薄めた液でも同様の処置をした後、痛みや吐き気等があれば受診してください。 皮膚についた場合は流水で良く洗った後、痛み等の症状があれば受診してください。眼に入った時は弱い流水で良く洗った後にすぐに受診してください。 酸素系は塩素系よりは作用が穏やかですが、飲み込んだ場合は口・喉の痛み、吐き気・嘔吐・下痢等をおこすことがあります。原液の場合は塩素系と同様の処置をし、うすめたものであれば、様子を見て、症状があれば受診してください。 眼に入った場合は、塩素系と同様の処置をした後、痛みや充血があれば受診してください。 《予防》 酸性・アルカリ性洗剤と同じです。つけ置き洗いをする場合は、子どもの手が届かないように注意してください。 家庭内での中毒事故防止チェックリスト(子ども編) 1.使用中は子どもを意識する □ 塗り薬や保冷剤などをおもちゃ代わりに持たせることはない。 □ 床や畳に置いている液体蚊取り、ホウ酸だんごを子どもがすぐに見つけて口に入れることを意識して、子どもがいる所では使用しないようにしている。 □ 化粧品は子どもの前で使用しないようにしている。 □ 化粧品の中ではマニキュア・除光液・香水・染毛剤は特に危険であることを知っている。 □ 電化製品のリモコンやおもちゃなどの電池ボックスのふたは確実に閉まっている。電池ボックスのネジは緩んでいない。 2.使った後はきちんと片づける □ タバコはもちろん吸殻が入った灰皿も子どもの手が届かない場所に片づけている。 □ タバコや薬の入ったバッグ類にも注意して、片づけている。 □ 灯油の給油ポンプ・ポンプ受け・ポリタンクは子どもの手が届かない場所に片づけている。玄関などに放置していない。 3.保管方法を工夫する、子どもの成長に応じて保管場所を変える □ 洗剤、カビ取り剤、漂白剤、トイレ用・パイプ用洗浄剤などを保管している洗面台や流し台の扉には安全グッズなどを使用して、子どもが開けられないようにしている。 □ 子どもが台に上って、高い場所にある化学製品を手に取ることを意識して、テーブルの上や棚の奥であってもタバコや薬などは置かないようにしている。 4.対象年齢を守る □ おもちゃの外装に表示された「対象年齢」を守っている。 5.危ないものを子どもに教える □ 錠剤やシロップなどの薬やアルコール飲料は菓子やジュースではないことを子どもに教えている。 〈参考〉日本中毒情報センター