トップページ > 薬と上手に付き合うための基礎知識 > ジェネリック医薬品II 〜薬剤師 後藤 君代〜 前回は「ジェネリック医薬品Q&A」でジェネリック医薬品の概論を述べましたが、今回は、ジェネリック医薬品の製剤的な工夫についてもう少し詳しく述べます。 ジェネリック医薬品の最大のメリットは医療費の負担が軽くなることです。皆様のなかには、ジェネリック医薬品に替え、負担金の軽さを実感された方もいらっしゃると思います。しかし、ジェネリック医薬品はそれだけではなく、飲みやすくしたり、使いやすくしたり、先発医薬品にない色々な製品の工夫をしているものがあります。どんな工夫をしているのでしょうか?具体的に説明します。 ○嚥下困難や小児・高齢者に配慮した先発医薬品にはない新しい剤形 〈内用ゼリー剤〉 先発医薬品は錠剤や散剤・シロップ剤。ゼリー剤にすることで嚥下 の負担を少なくし飲みやすく工夫。また、苦みや後味の悪さを改良。 〈内用液剤〉 先発医薬品は錠剤・散剤。ゼリー剤と同じく嚥下の負担を少なくし飲みやすく工夫。 〈内用フィルム剤〉 先発医薬品は錠剤。薄いフィルム剤で水なしで服用可能。服用時の喉の引っかかりがない。嚥下困難な方のみならず水分摂取制限のある方にも有用です。 〈速崩壊錠〉 先発医薬品は錠剤・カプセル剤。速崩壊錠とはラムネ菓子のように水なしまたは少量のお水で溶けるお薬で飲みやすく工夫されています。 フィルム剤と同じく嚥下困難な方のみならず、水分摂取制限のある方 にも有用です。※嚥下困難:唾液の減少や病気・高齢などで水や食物などが円滑に胃内まで通過できない状態のことを言います。 ○内用製剤サイズの工夫 錠剤、カプセル剤の大きさは服薬するうえでとても重要です。サイズが大きくて服薬に苦労された方もいらっしゃるのではないでしょうか?またカプセル剤が喉につかえたことはありませんか?ジェネリック医薬品では、錠剤やカプセル剤の大きさを先発医薬品より小さくすることで飲みやすくしているものが多くあります。 ○1回の服用数の工夫 お薬によっては、1回に2錠とか4カプセルとか、1回量が多いものがあります。1回1錠・1カプセルなら楽なのにと思ったことはありませんか?ジェネリック医薬品では、1錠・1カプセル中に先発医薬品の2倍・4倍量のお薬を含むことで1回の服用数を少なくし楽に飲めるように工夫しているものもあります。また、それとは逆に、1回量が1錠のものがなく半分に割って半錠を飲んでいたものは先発医薬品の半分量を1錠に製品化しているものもあります。 また、液剤では、1回量をカップで計って飲んでいたものを、1回分ずつ個別の包装にすることで、計り取る面倒さを改善し、また携帯にも便利なように工夫されたものもあります。 ○外用剤の工夫 点眼薬の防腐剤の量を少なくし、刺激性を改善したものや、容器の工夫で、全く防腐剤を含まない点眼薬、さらに点眼までは液体ですが、眼に触れると体熱でゲル状態(液状から固体に変化する事)になり結膜嚢内に滞留することで、眼軟膏と同等の効果が認められているものもあります。 以上、ジェネリック医薬品の様々な工夫を話しましたが、その他にも、シートやお薬本体にお薬の名前や、高血圧症薬とか糖尿病薬と薬効が書かれているものもあります。(先発医薬品にも同じように書かれているものもあります)それによって、確認してお薬を飲むことが出来、安心につながると思います。 ジェネリック医薬品のすべてが、以上述べたように工夫されているというわけではありませんが、服薬や使用に関して困った時は、一度、薬剤師に相談してみてください。ジェネリック医薬品に替えることで解決できることもあるかと思います。 参考資料提供 沢井製薬株式会社東和薬品株式会社