【質 問】私は埼玉に住む30歳の女性です。高校時代から鼻水が出ていたのを覚えていますが、就職して1、2年後から私の花粉症は一層ひどくなりました。それ以来、春1番が吹き始めるのが怖くてしかたがありません。スギ花粉が飛び始めると透明な鼻水・鼻づまりとくしゃみで夜も満足に眠ることができません。もちろん毎年病院の薬を服用していますが、シーズン中は頭がボーッとして鼻で息ができなくなります。何かよい漢方薬はありませんか。
【答 え】

身長170cm、体重54kg、一見体力があり、健康そうである。小便に異常はなく、大便はときに残便感がある程度である。手足が特別冷えるわけでもない。だが、どことなくおとなしく、声に力がない。また、顔色に覇気がない。1度花粉が飛び始めると、その後は花粉が飛ぼうが飛ぶまいが鼻の症状は変わらない。

皮膚につやがない、声に力がないことは肺と脾(ひ)の気の不足である。ほかにどこといって病症がないので、慢性的に気が低下している。この女性には肺と脾の気の不足を補う補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、さらに花粉が飛ぶと症状が発現することにより、表を固め風寒の邪に感じにくい体質を改善する玉屏風散(ぎょくへいふうさん)を服用してもらった。1カ月後、今年は快適に過ごしているとのことであった。

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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。