トップページ > 漢方の相談室 > 漢方の相談室Archives > 漢方の相談室~下半身の無力感(腎虚) 【質 問】私は毎日1万5千歩くらいの散歩を日課にしていた、80歳の男性です。75歳の時、だんだん膝が痛くなり、2年前から力が入らなくなりました。立つだけでも膝に痛みが走り、生き甲斐であった歩くことができません。一人暮らしなので炊事はヘルパーを頼んで何とかなります。最近は生きていることが虚しくてなりません。何とかならないでしょうか。 【答 え】 顔が隠れるような深い帽子をかぶり、花粉症用の眼鏡をかけ、マスクをして顔が全く見えない状態で来店されたのは、今から3年前のことである。 近所に住むおいっ子に両腕を抱えられ、来店したのは去年の8月でした。腰から下に力が入らない症状は腎虚と言う。 腎虚とは、40歳頃から始まる腎の活力不足のことで、早い人で50代前半から具体的な症状が発現する。この他に難聴・耳鳴り、トイレが近い・尿もれ、薄毛・脱毛、精力減退、気力・体力の低下などがあり、補いきれたらこの男性は、100歳の寿命をたまわることになるでしょう。 見ると膝の炎症はそれほどでもなく、大たい部の筋肉がやせ衰えていました。腎虚を補うために良質な鹿茸(ろくじょう)エキスと牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、筋肉を養うために四物湯(しもつとう)を加え服用してもらった。3ヶ月後には1万歩歩けるようになったと連絡がありました。現在は、歩いた後少し痛みは残るが、前と変わらず歩くことができるとご満悦。腎虚がからむ症状は、普通1年くらい時間を要します。 |『漢方の相談室』一覧へ|もどる|次へ| ※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。