トップページ > 漢方の相談室 > 漢方の相談室Archives > 漢方の相談室~慢性の頭痛 【質 問】23歳の女性です。19歳で一人暮らしを始め、生活が不規則になり半年がたったころ、突然目の前がちかちかし、日の光がまぶしくて目を開けていられなほどになりました。やがて後頭部が重く、ズッキンズッキンと痛みだし、嘔吐と腹痛を伴う下痢をします。2、3時間休むと楽になりますが、身体のふらつきがしばらく続きます。疲労感は慢性的にあり、低血圧で寒がりです。 【答 え】 女性は19歳まで病気をすることもなく、元気に過ごしていたという。症状が突然起きたのは、身体に不必要な病邪が入り込んだことを意味する。 身体を温める力をそこなうと体表面に流れる「衛気・えき」が異常を起こして寒冷症状が発現し、気血の運行が凝結し、痛みや引きつれなどが現れる。この人の頭痛は、他の症状と考え合わせ寒邪の侵入による。さらに寒邪が脾胃の陽気を損傷すると、四肢の冷えに加えて腹部も冷えて痛み、下痢や嘔吐を伴う。 服用してもらった漢方薬は「呉茱萸湯・ごしゅゆとう」である。これは体内に侵入した寒邪を追い出し、下痢や嘔吐を止める。約1ヶ月の服用後、目の症状も消えた。 ただ「衛気」の損傷を回復するために「玉屏風散・ぎょくへいふうさん」を一緒に服用していただいた。不規則な生活の改善ができたとき、この薬は必要なくなった。 |『漢方の相談室』一覧へ|もどる|次へ| ※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。