【質 問】私は79歳の男性です。4年程前より、突然動悸(どうき)がし始めて脈拍が早くなります。夜間診療所に行くと安定剤を処方され、落ち着くということを繰り返すようになりました。ひどいと脈拍が120に達することがあります。たまに心臓がドクンとし、脈を診ると結滞しています。病院の薬を服用しているものの、去年の夏にも発作があり、病院に行くと心房細動といわれました。
【答 え】

この男性は近所の人で、普段から与えられたことを直ぐにこなし、何事も計画通りに物事を進める信頼性の高い方である。ところが、あの人はすぐに怒ると奥さんは言う。いわゆる八方美人である。肝の気のめぐりをスムーズにし、気を下ろす「加味逍遙散・かみしょうようさん」を服用して頂いた。

1カ月後、心臓のあたりにある付き物がすっきりしたという。まだ動悸はするが、脈拍をはかると70回ほどだという。話しているうち、50年前から足に静脈瘤があり年々ひどくなるという。瘀血である。瘀血は血液の滞りで心に負担をかける要因になる。心の瘀血を取り去る「冠心二号方・かんしんにごうほう」を併用してもらい更に1カ月経過すると、動悸もほとんどしなくなった。そのまた1カ月後には動悸は全くしなくなり、結滞も消失したとうれしそうだった。予防のために服用は継続している。

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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。