【質 問】お正月にお屠蘇(とそ)をする習わしはいつごろから、どのような理由があるのですか。
【答 え】

お屠蘇とは新年の元旦、2日、3日の三ガ日の朝、屠蘇散という処方を、みりんまたはみりんと酒に一晩浸して、延命長寿を願って飲む薬酒のことである。この風習は約1700年前、中国の三国時代の名医・華佗(かだ)が1年間の災難厄よけのため10数種の薬草を調合したのが始まりといわれる。

日本へは奈良時代後半(約1200年前)に伝わり、平安時代初期に宮中儀式に採り入れられました。後に平安貴族に広がり、時代と共に武士や上流家庭に普及、婦女子にも口当たりの良いみりんなどを用いて現在に至りました。

中国・明の時代の書物によると、三角に縫った絹の袋に入れて大晦日の夜から井戸の内につるしておき、元日の朝に取り出して酒に浸す。一家そろって雑煮の前に祝い、来客にも初献する習わしです。松の内が過ぎると残りかすは井戸に投じ、この水を飲むと水あたりしないと伝えられてきました。息災を祈る意味で年少者を先にし、順次年長者にと定められています。

一般には薬種五味のものが多く販売されています。一晩浸しておくと苦味が出て飲みにくいことがあり、浸す時間を20分から40分にするだけで味、香り、色合いがほど良く仕上がります。

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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。