【質 問】35歳になる女性です。20年前から貧血でしたが、8年前に咽喉(のど)のつまりを感じ始めました。4、5年前より、めまい、ふらつき、動悸(き)息切れを感じて病院に行き、橋本病と診断されました。ほかで「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」を服用していましたが改善されず、何とかならないでしょうか。
【答 え】

橋本病とは、甲状腺に自己免疫疾患が起こった病気で、慢性甲状腺(せん)炎といいます。ホルモンの分泌が低下すると、朝起きられない。やっと起きてもだるくて動けない。寒がりになり、皮膚がかさつく。さらに低下すると手足と顔がむくみ、日常生活がのろくなる。1日中ぼんやりしていることが多くなり、ひどい場合は昏睡に陥るという病気である。

この女性の場合は、肝臓の指標も高くなっていた。全身の黄色みがひどく、手と足にしびれを感じる。これは、血液がかなり薄くなっていることを表す。身体がうまく動かないため、いらつきやすくなっていた。

腎臓の陽気を増し、水分代謝を促進する「真武湯(しんぶとう)」と、血液の統率をする力を増す「帰脾湯(きひとう)」を服用していただいた。2週間もしないうちにむくみが消え、咽喉のつまり感もなくなり、見違えるように元気になったと、現在も服用を継続中です。

『漢方の相談室』一覧へもどる次へ

※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。