【質 問】私は転職して1年半、32歳の女性です。半年前より、歩くと上半身に重心が残っている感じで、そのまま地面に胴体が付きそうになります。背中の右側全体に何か詰まっているようで、空気が入っているようでもあり、スースー冷たい感じがします。右肩が張って痛み、ここにも空気が入っているようです。そのころから寝付きが悪くなり、疲れているにもかかわらず、布団に入っても3時間くらい眠れません。
【答 え】

彼女はもともとストレスを処理できず、自分の中に溜め込んでしまうタイプであるという。軽度だがイライラ感があり、それを発散できない。不眠のため実質は2時間睡眠となる。手足も冷えると訴える。

ストレスの多くは、肝と心に症状を出してくる。肝において気が滞ると張った痛みを起こす。部位は身体のあらゆるところで起きる可能性があり、移動する。そして陽気が内に鬱(うっ)して冷えを感ずるようになる。また、肝は血を蔵(ぞう)すとあり、肝の気が滞ると血の運行が悪くなり、ふらつきに似た症状が現れる。

肝の気を疎通し、陽気を通ずる「四逆散・しぎゃくさん」を服用していただく。2週間で眠れるようになり、症状も全体的に軽く、元気になってきたと報告を受けた。1カ月すると症状は3分の1に軽減し、3カ月で消失した。

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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。