トップページ > 漢方の相談室 > 漢方の相談室Archives > 漢方の相談室~術後のめまい 【質 問】今年の3月に直腸癌(がん)の手術を受け、いったん人工肛門をつけました。翌4月に、今度は人工肛門を取る手術を受けました。私は49歳の女性ですが、術後は下痢と軟便が続き、10回くらいトイレに通う日があります。7月2日突然、回転性のめまいに襲われ、気持ちが悪く、それが終わるとふわふわし、目を閉じてもくらくらします。食欲もなく、やせてしまい、それ以来毎日床に伏せています。即効性のある漢方薬を調合してくだい。 【答 え】 直腸癌の手術を受けた人に共通していえることは、少量の下痢と軟便が一日何回も続く点である。食物の吸収が悪く、体力低下を起こす人をしばしば拝見する。彼女はもともと38キロしかないやせ型で、真夏なのにカーディガンを羽織って来店された。体中の気が不足して五臓の活力を失い、脾と腎を温めるエネルギーも失っているからである。腎気が不足を起こすと水分代謝に異常をおこし、めまいを発症する。 値段は高くても即効性のあるものという希望で、腎を温め水分代謝を改善する「真武湯・しんぶとう」と脾を温める「人参湯・にんじんとう」を煎薬で服用してもらった。ご主人に抱えられて来た彼女が、一週間後には一人で車を運転して来店した。下痢がなく回数も4〜5回に減り、食欲も出て同時に回転性のめまいが無くなったとのこと。 |『漢方の相談室』一覧へ|もどる|次へ| ※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。