トップページ > 漢方の相談室 > 漢方の相談室Archives > 漢方の相談室~動脈塞栓症 【質 問】76歳の男性です。7年前と4年前に右脚動脈塞栓症で人工血管のバイパス手術を受け、その後、今年3月に3回目の閉塞を発症しました。もう人工血管は無理なので、1カ月入院して副路血管拡張点滴(プロサイリン)を行いましたが思わしくなく、今は300㍍くらい歩くと右ふくらはぎの痛みが激しくて、数分間休みまた歩く状態です。漢方薬で足の動脈副路血管を拡張し、血行を改善することは可能でしょうか。 【答 え】 全身的な循環不全、局所的な血流の停滞・内出血を「血・おけつ」という。この人は7年以上前に心に血を生じ、心気(心臓の活力)が徐々に低下し、右ふくらはぎの血流障害を発症したもとの考えられます。 この場合は、先ず心の 血を取り去る「冠心Ⅱ号方・かんしんにごうほう」と、心気の不足を改善するため「生脈散・しょうみゃくさん」に少量の「牛黄・ごおう」を加え服用してもらいます。つぎに必要なのがふくらはぎの血を取り去る「血府逐瘀湯・けっぷちくおうとう」です。実際には、顔色や舌の状態を見て判断してから漢方薬は服用した方がよいでしょう。もちろん病院の治療や薬と併用していきます。バイパス手術や経皮的冠動脈形成術を受けた方、ペースメーカーを使っているなどが漢方薬を服用すると非常に予後が良く、快適に日常生活を過ごしています。 |『漢方の相談室』一覧へ|もどる|次へ| ※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。