トップページ > 漢方の相談室 > 漢方の相談室Archives > 漢方の相談室~花粉症の目の痒み 【質 問】毎年17年間、この時期だけ花粉症でお世話になっているEです。私は今年で41歳になる女性です。今年は花粉の量が例年の20倍から30倍だということで、いつもと違い、真面目に漢方薬を服用しております。おかげで今年は、花粉が吹き初めても、目の痒み が少々あるくらいです。このままでいけるでしょうか。 【答 え】 Eさんは花粉症のお客のなかで一番ひどい人で、あなたのようにひど方には少なくとも十一月より準備しなくてはいけない、と言った覚えがある。彼女は耳鼻科のお薬が全く無効で、毎年症状がこじれてから漢方薬服用するのである。例年、鼻水が黄色く鼻づまりがあり、胸痛を伴う咳嗽もひどく、黄色い痰をともう。その症状とともに透明な鼻水と鼻づまり、目の痒みがだんだんに増大してくる。 本来、彼女には体質改善薬として、脾を補ない湿を燥し、身体の水分代謝を調節し、鼻などの粘膜の炎症を緩和する「半夏白朮天麻湯はんげびゃくじゅつてんまとう」を通年服用してもらいたい。それでもなおかつ、鼻水と咳が出てきたときには、痰熱が心下に結合した、胸の痛みをともなう咳を治す「柴陥湯さいかんとう」である。花粉に感受し、目の痒みがひどく、鼻水・鼻づまりをともなうものに感風邪を治す「桂麻各半湯けいまかくはんとう」を服むとこんなにつらい思いをしなくて済むのではといつも説明している。この処方は目の痒みに一般的によく使われる。 |『漢方の相談室』一覧へ|『花粉症』一覧へ|もどる|次へ| ※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。